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うつ病・うつ状態について(3):メランコリアは変化したか?

うつ病・うつ状態について(3):メランコリアは変化したか?

メランコリアについて

  古代ギリシャ時代のヒポクラテスは病気を、超自然現象としてではなく、自然現象として説明しようと試みました。当時宇宙(コスモス)は”4”つ数字で表される4つの物質とその性質から説明されていたのですが、ヒポクラテスは人の気質についても同様に、”4”つの性質から説明しようとしました。4つの体液(血液、粘液、黒胆汁、黄胆汁)のうちの黒胆汁が優勢な人、すなわち気質あるいは体質的に沈うつな人としてメランコリーを抽出し、さらには沈うつ状態や恐怖が長く続く身体および精神の状態をヒポクラテスが病気として印し付けたのです。このメランコリアとう言葉とその内容は、西洋世界では中世には忘れ去られていましたがルネッサンス期に復活したのです。
  このように、メランコリアでは気質と疾患が同一名であり、気質と疾患が綿密に結びついていたことが分かります。一昔前は、メランコリー親和型性格や執着気質などがうつ病の病前性格として、精神科医の間では確実なコンセンサスを得ていたのです。

うつ病になり易い性格は変化したか?

  メランコリーという気質は、否定的に捉えられているばかりではなく、肯定的に考えられてもいました。例えば芸術はメランコリアと関係しているとされていましたし、几帳面、徹底性、熱中性、他者配慮などは日本社会では成功する性格といえたでしょう。

  しかし、何時の時代からか、日本社会が少しずつ変化し、まさに他者に配慮することよりも、自己中心的思考へと社会全体が変遷しています。ここ数年のインターネットや携帯電話などの普及は現代社会そのものの構造を変化させ、心の問題においても他人との交流のあり様を変え、性格・気質に変化を与えているようです。さらに現代社会のスピード化と過剰なストレスは、ごく普通の人をうつ状態へと追いこんでおり、当然ながらうつ病・うつ状態の性格論の輪郭はぼやけることになります。
  気質、うつ状態・うつ病そのものが現代では変化しているのですが、社会的な要因や気質、ストレス、生活史などを丁寧にうかがうことによって、個人個人に最もあった治療法を選択していくことが大切であると考えています。(文責、大原一幸)。

2015-01-16 14:02:11

うつ病について